中島聡 『なぜ,あなたの仕事は終わらないのか』
あの有名ブロガーが明かす,嫌なことをしないための仕事術.
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
- 作者: 中島聡
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2016/06/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分としては,好きなことを仕事にしてない(何が好きなんだかもよくわからない)でいる状態なので,
すこし苦しい感じもする.
まぁ,自分みたいな三流が,超一流との違いで恥じてもしょうがないので,盗めるところは盗んでいくべきなんだろう.
自分のおしごとスタイルの"Continuous Improvement"という点では,一段階抽象的なところまで咀嚼して,思想を理解しないと意味がない.(たぶんマルパクリするだけじゃうまくいかない)
仕事の効率化・成果の最大化って,結局のところ,『有限の人生で何がしたいのか?』ってとこに行っちゃうもんなんですね...
うーむ.深いっす.
となると,『自分はこうしたい』というものを持っていない今の自分は,今でもモラトリアムの真っ最中...
ぐへえ,いや,今日はこの辺にしておきます...
安冨歩 - もう「東大話法」にはだまされない
もう「東大話法」にはだまされない 「立場主義」エリートの欺瞞を見抜く (講談社+α新書)
- 作者: 安冨歩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 新書
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面白すぎてあっという間に読了.
まったく,面白すぎるのも問題だ.
安富さんが指摘する『立場主義』への対処法が,新しい.
いやはや,なんとも.こんな方法があったのか!というか.
ネタにされている『家政婦のミタ』を観ておらず理解が浅いのが残念だが,これも観ておこうか.
『歪み』に対する鋭さはいつもながら凄い.
戦後史の正体 - 孫崎享
- 作者: 孫崎享
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2012/07/24
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一つの仮説をもとに戦後史を腑分けする試み.
後半駆け足ながら,日本国の属米化の進行過程と,それに抗うための少しの処方箋を示す.
自分は不勉強な分野ながら,TPPについても待ったなしのようだ.
日本国はもはや終わったのだと思っていたが,それでも,さらに絞りとろうとする【タガメ】のような米国.
未来はどうなるか.
微力ながら,抵抗するぞ.
愚民社会(宮台真司・大塚英志)
2011年に読んだ本 ベスト3
1位 原子力の社会史 その日本的展開 by 吉岡斉
- 作者: 吉岡斉
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1999/04
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新版が出ているが,今はまだ読んでいない.
今から読むならこちら.
- 作者: 吉岡斉
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/10/07
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2位 私たちはこうして「原発大国」を選んだ - 増補版「核」論 by 武田徹
私たちはこうして「原発大国」を選んだ - 増補版「核」論 (中公新書ラクレ)
- 作者: 武田徹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/05/10
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3位 科学は誰のものか - 社会の側から問い直す by 平川秀幸
科学は誰のものか―社会の側から問い直す (生活人新書 328)
- 作者: 平川秀幸
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/09/08
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3冊とも,ものすごく勉強になった本だった.
読後で世界認識が変わる体験が複数得られたことは幸福だったと思う.
本はまだたくさん溜まっているので,年末にはたくさん消化したい.
こうして原発被害は広がった
- 作者: ピアズ・ポール・リード,吉井英勝,高橋健次
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/06/28
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※貴重な資料で必読だとは思うのだが,あまりの内容に健康を害するかもしれないので,取り扱い注意.
Fukushimaと奇妙な相似形を形成し,いったいどこの国の話なのかと考えこむ.
事象としてあらわれるその"無能"の意味を,あらためて噛み締める.
チェルノブイリは再現され,そして,生物への影響はこれからだ.
参考
権威主義的な国家体制の国が民主主義国家に勝てない
- なぜ日本人はリスクマネジメントができないのか?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110824/222247/
人間を資産ととらえるか,消耗品ととらえるか.
橘玲 - 大震災の後で人生について語るということを読んで,人生について考えた
新刊『大震災の後で人生について語るということ』,読みました.
著者はこう書きます.
P.207
私がこれまで語ってきたことが絵空事であるのなら、その絵空事を徹底して突き詰めることでしか、その先に進むことはできないのではないかー。
3・11後,まるで天啓を受けたかのように2週間で書き上げられた本書は,橘玲の集大成と言える内容です*1.
私は橘玲氏の大ファンで,ゴミ投資家シリーズ/小富豪シリーズ/海外投資を楽しむ会,そして橘玲名義作品に共通する『人生や幸福の7割は経済的な事由に左右される.世間の常識に疑問を持ち,経済合理性を追求することで経済的な自由を獲得する』という姿勢にたいへん共感してきました.特に,橘玲名義作品は全て読んでおり,一部の作品にはたいへん大きな影響を受けています.
本書には特段に新しい主張があるわけではありませんが,2つの大きな意義があると思えます.
1つは,これまでで最も研ぎ澄まされ,過去の橘玲作品のエッセンスが詰まったものであること.つまり,以下の事実認識です.
Q1 持ち家か賃貸か
→「持ち家は賃貸より有利」だと断定することはできない.
頭金を元金としレバレッジをかけた,ハイリスク・ハイリターンな投資である.
Q2 日本的雇用 -定年まで会社が面倒みてくれる
終身雇用,日本的雇用,老後は退職金で安心.大企業に入れば会社は安定しているし退職金や年金で有利
→人的資本を会社に集中投資(サラリーマン債券)しており,会社が潰れれば取り戻せない
Q3 円預金はもっとも有利
投資といえば日本株,安心なのは銀行預金
→日本株について.戦後からバブル崩壊までのパフォーマンスは素晴らしかったが,バブル崩壊後はむしろ最悪
Q4 年金があるから老後は安心
→個人資産を加算しても,日本国は債務超過.
2つめは,上記について3・11後の視点から捉え直すことの有用性が,ますます向上していることです.
橘玲作品を読み,その実現可能性は必ずしも高くない内容をフィクションとして愉しむという姿勢を捨て,ツールとして利用するべきときが近づいているということです.
驚くべきことは,むしろ,過去の日本的価値観のほうが絵空事に見えることではないでしょうか.
上述Q1〜Q4に倣ってまとめます.
(下記は,本から引用するだけでなく,私の解釈で勝手に書いています.)
A1 持ち家のリスクを認識せよ
生物学的な観点から,人間が『賃貸よりも持ち家が一段上だと考えることは自然』であるが,リスク耐性の低い個人は,年収の何倍ものハイリスク投資を避けるべき.
また,良い条件は揃わないかもしれないが,社会状況を見極め,割安な賃貸物件を探すことは可能である.
A2 日本的雇用からの脱却も,そう悪いことばかりではない
整理解雇の要件緩和や定年制の廃止で,グローバルスタンダードの雇用環境への移行は,いずれどこかのタイミングで起こる.
クリエイティブ・クラス/バックオフィス/マックジョブに収斂していく雇用環境では,日本人のリスク回避志向から(権限もない代わりに責任もない)バックオフィスという選択もありうる.
A3 円資産への集中投資から.国際分散投資へ
現代ポートフォリオ理論から,世界市場と同一比率で分散投資することが有用.
ETFが手数料が安く,かんたん便利.
A4 年金
(こうすればいい,という策はない)
社会保険制度の大幅な変更が必要になるが,政治的に困難.年金はあてにしないこと.
個人的には,社会保障の大盤振る舞いは,国債暴落・インフレ到来によってはじめて是正されるのではないかと考えています.
最後に.
私は現在,『経済的自由financial independenceを獲得すること』だけを目標に(明らかに向いてない)サラリーマンとして,クビにならない程度に仕事を続けています.正直に申し上げて,「これでいいのか?」と思うことは多々あります.
個人的に,ニート,フリーター,派遣社員,正社員と経験し,「経済的事由が人生の土台を規定する」という言葉の意味はわかっているつもりです.
本書を私の人生の今後の指針とし,これからの自分の人生で存分に足掻いてやろうと,決意を新たにしました.
以下,目次
<お金とリスクの経済入門>
斜陽の国の明るい人生設計
PART1 日本人の人生設計を変えた四つの神話
1 日本を襲った二羽の「ブラックスワン」
2 不動産神話 持ち家は賃貸より得だ
3 会社神話 大きな会社に就職して定年まで勤める
4 円神話 日本人なら円資産を保有するのが安心だ
5 国家神話 定年後は年金で暮らせばいい
PART2 ポスト3・11の人生設計
6 伽藍からバザールへ 人的資本のリスクを分散する
7 世界市場投資のすすめ 金融資本を分散する
番外編 なぜふつうのおばさんが億万長者になるのか?
8 大震災の後で人生について語るということ
*1:エッセンスが主なので,より具体的に知りたければ個別の書籍をあたることをオススメします