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宮台真司から学ぶ「ホワイトカラー・エグゼンプション」+α

まじめ

梅田望夫的に言うと、私のロールモデル宮台真司氏である。
まったくもってかなわないけれど。


TBSラジオで2006年10月〜2007年3月まで宮台先生のポッドキャストが配信されていた。
タイトルは『週刊ミヤダイ』。
ダウンロードしただけで聴いていなかったのだが、最近一気に聴いた。
もう音源が配信されていないかもしれないし、2007年11月現在の自分が聴いて興味を持ったものについて以下にまとめる。


2007年1月配信 「ホワイトカラー・エグゼンプションの目的とは?」
当時一瞬話題になった。
この件について背景の解説が(いつもながら)鮮やかだったので、どうしても書きたくなった。


40分の放送を、宮台氏の著作などを含めて乱暴にまとめると、以下。
※ネタバレ注意※
一部boshiによる補足アリ。
こんなに書いたら著作権上まずいかも…。

◆アメリカからの外圧
ホワイトカラー・エグゼンプションとは、そもそもアメリカにしかない制度。
2006年の日米投資イニシアティブにおいて、『アメリカの投資家から見て、日本企業の投資先としての魅力を、より高めよう』という趣旨で導入が提案されたもの。アメリカ側の本音はともかく、建前としてはそういう言い方になるのだろう。
*1


◆ヨーロッパ
フランスでは若者を雇用しやすく&クビにしやすい制度*2を導入しようとしたところ、暴動が起こった。
これはどういう意味か?
政府側、フランスのMEDEFの方針としては、労働市場の流動性を高めて企業に国際競争力をつけさせ、グローバル競争に勝ち抜くことを主眼としたものだったが、労働者側はあくまで『護るべきものが、ある』として譲らない。


労働者側は、労働市場の流動性を高めて、労働者が不安定な状況に置かれるよりは、結果として起こる可能性のある国際的な賃金水準の低下や経済的な没落を甘受するほうがよいという感性を持っているという。
(バカンスを2ヶ月とか、週32時間〜35時間労働でOK!とかを温存する)


(補足)スローフードというと、単に有機野菜を食べる運動だと勘違いしている人間が多いが、間違い。
マクドナルド打ち壊しのようなネオ・ラッダイト、つまり、利便性はたしかに良いことだが、それによって失われるものに想像力がはたらくのかどうか。
「自立的経済圏の護持」
詳しくはこの本を。

亜細亜主義の顛末に学べ―宮台真司の反グローバライゼーション・ガイダンス

亜細亜主義の顛末に学べ―宮台真司の反グローバライゼーション・ガイダンス


◆日本に導入されたらどうなるか
既に一部の専門職については裁量労働制は導入されているが、十分に浸透していない。


現状でさえ、サービス残業当たり前が横行している日本では、家族団らん法として機能せず只の残業代不払い法案として機能するだろう。
野党→残業代ゼロ法案と指摘。


賃金の低下
→労働時間の増加
→余暇の減少
→ますます内需が細るというスパイラルが廻ってゆく


◆グローバル競争
日本は資源が無い国。
加工貿易で外貨獲得してきた。
そうしないとエネルギーも原材料も買えない


昔は日本しか作れないものがあった。
他の国に作れないものがあった。
日本の労働者の賃金が多少高くても吸収できる余地があった。
→今はそうではない。
グローバルエリートは限られた内需でなく、グローバルなマーケット=外需で競争したい。



派遣法の度重なる改正により、派遣労働が合法化。
若者たちが不安定な労働形態で 安く買い叩かれる状況になってきている。
不満を持っているのか?
そうではない
→統計的には、『会社・日本が生き残るのにはしょうがない』という意識を持っている。



日本も
内需中心の社会をつくることができれば…



ヨーロッパ→自然信仰
バカンス
→お金がなくても自然に溶け込んで豊かな時間を過ごすことでOK!


日本
家族共同体・地域共同体
→空洞化
→企業共同体に吸収
いっしょうけんめい働かせる
『会社が家族』


集権的再配分
いったん中央に吸い上げて地方にばらまく
日本には護るべきものが存在せず、共同体を保全するということがそもそも理解されない


『しみったれたヨーロッパ』アメリカのエリート層が揶揄
日本『貧しくても楽しい我が家』家族団らん→しみったれた日本が処方箋?

◆安全保障
石油→中東
入手にはアメリカの軍事力に頼るほかない
つまり、生命線を他国に握られてしまう


安全保障といえば、軍事もさることながら以下の4つが柱。

  • 食料
  • エネルギー
  • 技術
  • 文化

生命線を他国に依存すると、独自外交ができない。


ヨーロッパでは、安全保障の面から再生可能エネルギーが推進される。
<例>太陽光・風力・地熱
→内需の拡大に寄与する!ということもわかってきている。
残念ながら日本では周回遅れの状態。議論にすらならない。




◆護るべきものがない日本
グローバル経済の本質とは何か


<例>日米構造協議によって大規模店舗出店法が成立
→大型ショッピングセンターが日本にもできる
→地元商店街が大打撃
シャッター街(地域経済圏の破壊)
→売り上げの悪いショッピングセンター閉店
あとに残るものは、寂れたシャッター街のみ。
失われたものは、もう元には戻らない。


日本のお偉方、経団連の連中の意見は、イノベーションを起こして産業の構造を変革し
生産性を向上させることを目標にするのではなく、
労働者の賃金水準を落として、中国・インドと同じ土俵で競争しよう、ということ。
たいへん『志の低い』志向性をもっている。


既に20代の労働者の1/3は非正規雇用労働者。
これに、年収400万円以上のホワイトカラーの賃金をさらにカットする方向


今の若い世代は「日本の企業が生き残るためには、現状はやむなし」
グローバル企業は「日本に工場を置いてやるだけありがたいと思え」


ホワイトカラーエグゼンプションの真の意味
アメリカによる日本解体の完成
→宮台の処方箋は教育
最低でも20年の期間


ゆとり教育=生きる力
80年代の日本
→Japan As No.1
当時の日本は凄かった。
さらにその先に行くために、教科書に書いてある正解を導くことに長けるのでなく、失敗を乗り越え、創造性のあるエリート育成するという目的があった。
・・・。

*1:日本市場で外国人投資家=外国の機関投資家がかなりの額の取引をしているので、こういう意見が出るのは当然。旧態依然として、非効率的な雇用慣行を温存し、遅々として改革が進まない日本に圧力をかけるというのも、一理ある。私自身が単に『外圧=悪』と考えているわけではない。

*2:CPE

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