『プロメテウスの罠』(書籍版)より一部抜粋
- 作者: 朝日新聞特別報道部
- 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
- 発売日: 2012/02/28
- メディア: 単行本
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プロメテウスの罠より抜粋.
3月15日午前5時すぎ 東京電力本店における菅直人首相(当時)の訓示の内容.
(P207~208)
今回の事の重大性は皆さんが一番分かっていると思う.政府と東電がリアルタイムで対策を打つ必要がある.私が本部長,海江田大臣と清水社長が副本部長ということとなった.これは2号機だけの話ではない.2号機を放棄すれば,1号機,3号機,4号機から6号機,さらには福島第二のサイト,これらはどうなってしまうのか.これらを放棄した場合,何ヶ月か後にはすべての原発,核廃棄物が崩壊して放射能を発することになる.チェルノブイリの2倍から3倍のものが10基,20基と合わさる.
日本の国が成立しなくなる.何としても,命がけで,この状況を抑え込まない限りは.撤退して黙った見すごすことはできない.そんなことをすれば,外国が「自分たちがやる」と言い出しかねない.
皆さんは当事者です.命を賭けてください.逃げても逃げ切れない.情報伝達が遅いし,不正確だ.しかも間違っている.皆さん,萎縮しないでくれ.必要な情報を上げてくれ.目の前のこととともに,5時間先,10時間先,1日先,1週間先を読み,行動することが大事だ.
金がいくらかかってもかまわない.東電がやるしかない.日本がつぶれるかもしれないときに,撤退はあり得ない.会長,社長も覚悟を決めてくれ.60歳以上が現地に行けばいい.自分はその覚悟でやる.
撤退はありえない.撤退したら,東電は必ずつぶれるーー.